いちばん好きな山岳小説「神々の山嶺」 実写版映画を観た感想
映画「エヴェレスト神々の山嶺」を観ました。
原作は夢枕獏の小説。私が一番好きな山岳小説です。ベスト3のうちあと2つは、氷壁(井上靖)と孤高の人(新田次郎)。原作に思い入れがあればあるほど、映画化したときにイメージが違うとがっかりするのですが、今回はメインキャストが阿部寛さんと岡田准一さんということで期待して観ました。
結果は期待を大きく上回る、とてもよい映画でした。山岳史上に残る名作ではないでしょうか。
あの壮大な小説をどうやって限られた時間にまとめるのか
世界最高峰エヴェレスト(標高8848m)の山頂をめざすシーンはどう撮影するのか
これらの大きなポイント,映画は次のように撮影,編集されていました。
エヴェレスト南西壁に挑戦するクライマー羽生丈二(キャスト阿部寛)と、それを追う山岳カメラマン深町誠(キャスト岡田准一)。中心となる二人の山男の生き方のみにフォーカスをあてた内容に編集(原作をさらに深く、面白くしているエピソードの数々はカット)
エヴェレストのシーンは、実際に高度5200mでのロケを敢行! 阿部寛さんも岡田准一さんもほとんど自分でシーンをこなした
登山仲間(新婚旅行でモンブランに登った強者夫婦)の感想はストーリーとは関係ありませんが山好きならではの着目点です
・最後の阿部寛さんのアックスの打ち込み方が上手!
・岡田さんの雪山の歩き方にダメ出し
エヴェレストに挑戦する羽生丈二役の阿部寛さんのセリフは、とってもクサいのですが、あの濃い顔から口に出されると全く違和感がありません(笑)
「そこに山があるからじゃない。ここにおれがいるから、山に登るんだよ。」
「足が動かなければ手であるけ 手がうごかなければゆびでいけ ゆびがうごかなければ 歯で雪をゆきをかみながらあるけ 歯もだめなら目であるけ 目でゆけ 目でゆくんだ 目でにらみつけながらゆけ 目でもだめだったら それでもなんでもかんでも どうしようもなくなったら ほんとうにほんとうに ほんとうのほんとうの どうしようもなくなったらもうほんとうに こんかぎり あるこうとしてもだめだったら 思え ありったけのこころで思え ―想え。」
神々の山嶺 夢枕獏
みなさんはここまでの執念をもって、取り組んでいることはありますか。
羽生丈二のセリフは一言一言が、生きている意味を考えさせるものでした。